Ainu Utasa EP

アイヌ音楽とダンスミュージックが「互いに(ウ)交わる(タサ)」 ことで生まれた、古来から伝わる日本音楽の現代的な新解釈。
Ainu Utasa EP was born through a collaboration, not only musical but also cultural, with the Ainu people that have live in the north of Japan since ancient times.
Ainu Utasa EP
アイヌ音楽とダンスミュージックが 「互いに(ウ)交わる(タサ)」瞬間
『Ainu Utasa EP』は、Hyōgu の立ち上げ第一弾としてリリースされた、主宰である青山翔太郎によるアイヌ音楽とのコラボレーション作品です。 Utasa( ウタサ ) とはアイヌ語で、「互いに ( ウ ) 交わる ( タサ )」を意味する言葉であり、2020年2月に阿寒湖の氷上で行われた、アイヌ民族と和人が互いの文化を通して交わり、 新しい文化を生みだすイベント「ウタサ祭り」へ出演した青山が、現地でアイヌの方々と交流したことをきっかけに作品の制作は始まりました。 パリで生活していた際に目撃した、2000年代初頭のフレンチエレクトロから2014-5年頃のルーツミュージックへの回帰的というムーブメントの移行に触発され、以前から日本人の歴史的音源に興味を持っていた作家にとって、アイヌ文化独特の演唱法は非常に示唆的なものでした。
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●アイヌ音楽とダンスミュージックの共生 / 融合 本作の最大の特徴は、古来より受け継がれてきたアイヌ文化の音楽と青山の音楽の基盤であるダンスミュージックの共生 / 融合にあります。 制作過程において、作家は本質的な文化を理解することが重要であると考え、現地を幾度も訪ねながらアイヌ文化を継承する演者の方々と対話を重ね、サンプリングなどではなく、北海道釧路市阿寒湖で実際に演奏されたアイヌの音楽を全ての楽曲に使用し、それらを基に、原曲のグルーヴや世界観に寄り添いながら、現地で目にした景色や感じた音をダンスミュージックと融合させることで本作が誕生しました。
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●ダンスミュージックが示すアイヌ音楽 / 文化への招待 本作は、アイヌに古くから伝わる「ウポポ(座り歌)」や「リムセ(踊り歌)」といった伝承歌謡や、彼らの伝統的な弦楽器である「トンコリ」の伝統的な楽曲などをモチーフに、それらをダンスミュージックと融合させる現代的なアプローチが試みられています。 『Ainu Utasa EP』に収められている楽曲は単なるコラボレーションという枠組みを超え、アイヌ語で子守唄を意味する「Ihunke / イフンケ」、阿寒湖に生息するタンチョウ鶴の美しい姿を謳った「Sarorun Rimse / サロルンリムセ」、アイヌの精霊であるカムイが霧の海を渡る様子が描かれる「Urar Suye / ウララスイエ」など、古くから<音楽>を通じて伝えられてきたアイヌ民族の古来の物語を伝える作品になっています。
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●実際のレコーディングの様子 本作はさまざまなプラットフォームでストリーミング配信を行うと同時に、12インチのレコードでもリリースされています。 レコードには、CDやストリーミング配信とは異なる専用のマスタリングが存在し、カッティング作業や再生機器や使用する針の種類に応じても、音の趣向が変化するのが特徴です。 物理的な制限にとらわれず、誰もが音楽を楽しむことができるストリーミング配信とアナログだからこそ生まれる様々な選択と偶然の組み合わせの可能性、新旧のメディア、それぞれの特性を最大限に活用した方法での楽曲の提供は、作家が作品に託した「一人でも多くの方が日本の音楽を知るきっかけになれば」という願いの表れでもあります。
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Ainu Utasa EP - Shōtaro Aoyama Label : Hyōgu ストリーミング配信 ☞ https://friendship.lnk.to/AinuUtasa Web store ☞ https://www.hyogu.jp/items/33205011
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スプラッター仕様のデザインには、青山が阿寒湖で見たアイヌの着物の色合いで印象的だったという赤色と青色が透明のレコードに鮮やかに配色されています。
Music Video Ihunke feat. Fukiko Goukon - Shōtaro Aoyama Text: Yusuke Nishimoto(SUB-AUDIO Inc.)